『元気の伝道師クラちゃん』(前編)
今回ご紹介する人物は二人、厳密に言うと一人と一頭の犬。
北諸県郡三股町のマッサージ師、蔵元茂志さんとその愛犬アンドレです。
彼らを通して挑むことの大切さを探ってみたいと思います。
まずこの稿では彼のことを「クラちゃん」と書かせて頂きます。
たった一回お会いしただけでそう呼べる気さくさがクラちゃんの魅力のひとつです。
RecordBook宮崎ではインターネットを通じてこの記事を公開していますが、クラちゃんは目でこれを読むことはできません。なぜならクラちゃんは昔から目が見えないからです。
しかし彼はPCを使い、携帯で絵文字を打ち、書道をしたり、ギターを弾きます。冗談もよく言いよく笑います。とにかくポジティブな方です。
【比べることの愚かさ】
今回の出会い、インタビュー、この記事を書くまで少し時間がかかりました。皆さんにクラちゃん像を伝えるにあたって、目がみえる人からの感覚だけで「スゴイ」という記事にならないかと躊躇したためです。
しかしそれでもクラちゃんのチャレンジ精神はやはりスゴイ!何度も書き直しましたが、今回の記事は目の見えない人の感覚もお伝えすることによって、理解を深めるきっかけにもなればと思い書き進めます。
【クラちゃんの地図】
クラちゃんの感じる町並みは「音」そして「匂い」が多く占めます。例えば交差点に差し掛かると当然建物がなくなるので、周りの音が反響しなくなり、交差点に出たことがわかります。
それは駐車中の車にも言えることで、周りからの反響音によって車の有無がわかります。
携帯電話のメールは音声ガイダンスにしたがって聞き取りや入力を進めます。音声スピードは調整出来るのですが、クラちゃんの普段聞くモードはとても早口で、かなり集中していないと聞き逃します。
これらのことで思ったのは、見えるということは漫然と眺めたり、部分的に読み返したりすることが出来ますが、見えない場合かなりの集中力が求められますし、危険を伴う場合には勇気が必要です。それを軽々と乗り越えるクラちゃんの原動力は「好奇心」かもしれません。
【クラちゃんの興味】
クラちゃんが美しいと思うものは何かと尋ねてみました。すると返ってきた答えは「音色、特に高音」だそうです。クラちゃんは12弦のギターを弾きます。そして歌います。楽曲は「ゆず」や「エグザイル」のコピーやたまにオリジナルの歌も披露します。ご自身の結婚式では周りの方々への感謝を歌ったオリジナル曲を披露し、会場を感動の渦に巻き込んだエピソードもあります。
将来の夢を尋ねたところ「ギターを弾きながらの旅をしたい」と即答でした。彼の音楽ユニットは「掌」(たなごころ)といいます。
クラちゃんの経営する治療院(※1)と同じ名前です。インタビュー翌日、ご縁があって4月27日の日曜日に都城市公設市場で行われる野外音楽ライブ(※2)に出演を打診したところ快くOKいただきました。
ただしその日は他にも用事があるとのことで、その用事の内容を訊ねると「野球の練習」だそうです。……クラちゃん、恐れ入りました!この「野球」はグランドソフトボールといって、来月5月24、25日に長崎県で九州大会が行われるとの事。クラちゃん張り切っています。こちらもぜひ注目、そして応援していただきたいです。
RecordBookの取材ではいろいろな方から勇気をいただきます。本当にありがたいです。今回のクラちゃんにも沢山の勇気元気をいただきました。
情報過多の社会で私たちは様々なものに惑わされているのかもしれません。人間に本当に必要な素養と前向きな気持ちをいただいた気がしました。
インタビューの最後にクラちゃんに尋ねたのは「クラちゃんからみて、この社会の未来は明るいですか?」これにも即答していただきました。「明るいですよ~」
<後編へ続く>
(※1)クラちゃんが経営する治療院「掌」(たなごころ)北諸県郡三股町樺山3146-13TEL:0986-51-0555 要予約(※2)食音祭!絆2014都城公設市場日時:2014/4/27日曜日9時~14時